L寄りBの本棚。

バイセクシャルだったけどだんだん男性に興味がなくなったレズビアン(L寄りB)がLGBTを題材にした小説や漫画について一丁前に語るブログ。

【L漫】作りたい女と食べたい女(ゆざきさかおみ)

さて、この漫画については現在コミックウォーカーで連載中であり、また(Twitterで様子を見ている限りではあるけれど)セクマイ界隈での評価も高い作品であるため、私が今の時点で色々と書くのもはばかられるような気はする。が、小学校以来、リアルタイムで連載を追いかけている漫画でもあって、ちょっと語ってみたい気がしたので書かせていただく。単行本は第1巻が出版されている。

 

 

主人公である野本さんは、少食だがたくさん料理を作りたい女性。一方、マンションの野本さんの隣の隣に住む春日さんは、たくさん料理を食べたい女性である。これでタイトルの意味は理解できたと思う。ちなみに、この漫画の通称は「つくたべ」。もうそのまんま。

この情報だけだと全く恋愛的要素を感じないのであるが、野本さんがレズビアンであり(それはまだ単行本になっていない16話で明らかになる)、また、どうやら食べっぷりのいい女性が好みであることから恋の予感が始まる。

 

と、書くと一部の人は「何でやねん!」と突っ込みを入れたくなるかもしれないが、この野本さんの心境はよく理解できる。私も少食な人よりは食べっぷりのいい人のほうが好きだ(私は野本さんのような料理好きではないのだけれど)。逆に昼食に小さな弁当箱を箸の先でつついて済ませるようなタイプの女性はちょっと苦手である。今年他界した実母が肥満体であったせいもあって、すごく太った女性は(友達としては良くても)恋愛対象に見えないのだが、よく食べるために多少ガタイが良いくらいの女性はウェルカムだ。ガリガリよりは断然良い!

 

というわけで、この辺りの価値観が共有できるセクマイ女性は、すんなりと野本さんに感情移入できるはずである。ちなみに、春日さんも太っているというよりは大柄でガタイの良い女性として描かれている。通常の漫画の世界ならば、恋のお相手としては選ばれにくいビジュアルなのではあるが、そこもまたリアリティがあって良い。

 

第1巻の内容としては、大まかにいえば野本さんと春日さんが食を通じて接近していく、というものになっているが、それ以降の、まだ単行本になっていない部分に関しては二人のそれぞれの背景事情が語られていくことになる(という記憶である。なんせ今コミックウォーカーでは16話と17話しか読めないので確認できない)。

 

私が関心を持っているのは、今後、作者のゆざき氏がどこまでレズビアンについて突っ込んだ描写をするのか、といった下世話な部分である。もちろん、このあっさりとした絵柄で生々しい性描写が出てくるとは思えない(し、私を含む多くの「つくたべ」ファンはそれは望んでいないと思われる)が、それを匂わせる描写が出てくるのかどうか、ちょっと気になっている。アセクシャルの人もいるので、そういう性交渉なしの展開もアリといえばアリなのだが、そこに逃げ込んでほしくないという気もする。

 

なお、私はL寄りBという視点で読んでいるのだけれど、実はヘテロ女性が読んでも十分楽しめる漫画ではないかと思っている。野本さんと春日さんは、女性が日常生活において直面する色々な困難やモヤモヤについて作中で語っている。このあたりは女性みんなが共感できるんじゃないかな。単行本をいきなり買うのがためらわれるという人は、一度コミックウォーカーで初めのほうを読んでみて欲しい。ぶっちゃけおすすめです。