L寄りBの本棚。

バイセクシャルだったけどだんだん男性に興味がなくなったレズビアン(L寄りB)がLGBTを題材にした小説や漫画について一丁前に語るブログ。

【L漫】愛されてもいいんだよ (天野しゅにんた)

前の話の続きになるけど、どうも個人的にはTwitter上で「つくたべ」に関してプラス評価しか許されない、みたいな雰囲気がちょっと・・・・・でして。

いや、私もマイナス面を誇張しようという気はさらさらなくて、「好きな人は好きでよろしいんじゃないですか」と思う。そして何度も言うけど、春日さんのキャラについては非常に魅力的。今後私はそれだけのために読む。

 

それはさておき、天野しゅにんた先生の「愛されてもいいんだよ」も、私がブログをさぼっている間である今年の3月に完結(第4巻発売)しておりました。2020年からお疲れ様でした。

 

 

この作品は、とあるビアン風俗店の創業者の取材協力を得てできたもの(表紙に、「取材協力/御坊」との記載がある)で、したがって店の利用ルールとか、キャスト間のご法度とか、そういうことについては非常にリアリズムに溢れている。

 

なんだけど、主人公の設定が「ほんまかいな?」である。何せ、女性同士の性交渉が初めての女性が、ひょんなことからビアン風俗を利用することになり、それをきっかけにビアン風俗のキャストになるというところからスタートしているからである。え、そんなことってある?

 

漫画だからご都合主義で良いのだ、という考え方もあるのだけれど、その経緯でキャストになって、徐々に売れっ子キャストになっていく展開、そして色んな客に希望を与える・・・・・そんな順風満帆なことでいいんですかねえ。もう一波乱欲しかったですねえ。

 

あと、まだ読んでいない人に対してネタバレになってしまうので細かくは書けないのだけど、ラストがどうもビアン風俗のキャストと客との恋愛に肯定的であるかのように読める。それって、業界的にはよろしくないんじゃないですかねえ。途中にそれは良くないというエピソードも挟まっているのでいいのかな? まあ、いいことにするか(雑)。

 

そんなこんなで突っ込みどころは多々あるものの、作品としてはうまくまとまっているような気はする。キーワードは「心の穴」。

 

ちなみに、「心の穴」という言葉には既視感があったのだけど、これって二村ヒトシの『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』で出てくる概念だよね? 心の穴。天野先生、この本読んだのかな? 自己受容とその難しさ。二村ヒトシのこの本に関してはかなり面白いのでおすすめである。

 

 

と、何だかだんだん『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』のほうに話がシフトして長くなりそうなのでこの辺で止めておこうと思う。ビアン風俗の話だけど、別にエロいわけではないので、そういうのを求めている人には不向き。それだけは念のためにお伝えしておく。