L寄りBの本棚。

バイセクシャルだったけどだんだん男性に興味がなくなったレズビアン(L寄りB)がLGBTを題材にした小説や漫画について一丁前に語るブログ。

自分を好きになりたい。―自己肯定感を上げるためにやってみたこと(わたなべぽん)

今日のタイトルは、私が何かしたということではなく、そういう漫画のタイトルなので注意。

 

 

これ、前の記事で自己肯定感を上げるのに良い本はないかと書いて、自分で探した結果出てきた漫画なのである。毒親育ちの人が、どうやって自己肯定感を上げていったか、という記録のような作品である。

もっとも、何か具体的にワークがたくさん挙げられているわけではない。あくまでも著者の体験談ということになる。それでも、「毒親育ちがいかにして自分を好きになるか、自己肯定感を上げるにはどうしたらよいか」ということのヒントにはなる。そういう意味では良い本であった。ヒントを得て、これからどうしていくか自分で模索したい人向けである。

 

一つ先にお知らせしたほうがいいと思うのは、この漫画には、著者が意識しているかどうかは不明だが「インナーチャイルド」が出てくる。インナーチャイルドとは書いていなくて、「子供の頃の私」と記載されているが、まあ同じものであろう。

なので、「ほらきた、インナーチャイルド理論! 胡散臭い~。」と思う人は読まない方がいい。

 

ここで、インナーチャイルド理論についてちょっと説明しなければならないだろう。インナーチャイルドとは、直訳すると「内なる子供」で、幼少期に受けた心の傷が癒されないまま成長すると、この「内なる子供」が心に大きな歪みをもたらす、というような理論である。正直なところ、何か学問的に認められた概念ではなく、スピリチュアル界隈(出た~!)なんかでよく取り上げられるものだ。「インナーチャイルドを癒すセミナー」みたいな。

 

と、いうのを読むと、「やっぱりあてにならないじゃないか!」と思われるだろうが、もう少し辛抱してほしい。とかく出所が胡散臭いために、「インナーチャイルド いない」なんかで検索すると、「インナーチャイルドなんかいません」「高額セミナーに騙されないで」みたいな記事がいくつか出てくるのだが、そうだろうか? 

 

というのも、人の内心は自由だからである。いる人はいるし、いない人はいない。それでいいのではないだろうか。肝心なのは、特定の人物に傾倒しすぎて変なセミナーにお金をじゃぶじゃぶつぎ込まないことであって、もしそのような概念で救われる人がいるのであれば、(科学的には認められていないとしても)いる人にはいる、ということにしてしまって良いのではないだろうか。

 

ここまでくると、宗教を信じる、信じないという話と似通ってくる。神様はいる人にとってはいるし、いない人にとってはいない。それと同じことである。私の内心には、神様(新興宗教ではなく神社などにおわす八百万の神々)もいるし、インナーチャイルドセミナーなんか受けずに自分で適当に本を読んで呼び出したやつ)もいる。ただ、特定の人物・団体に高額のお布施はしない。それでいいんじゃないかなあ。

 

と、前置きが長くなってしまったが、この漫画、ジャズの先生(著者が習いに行っている)の「自分で自分をいじめてるの」という言葉にもグサッとくるし、ところどころに挟まれている「実は・・・自分が嫌いなんですあるある」も自分に当てはまる点が多くて驚いてしまう。この「あるある」はチェックリストに使えるのではないかと思うレベルである。

絵がのほほんとしてかわいらしいので気を抜いた状態で読んでしまいそうであるが、内容は割とヘビーなので、ちょっと気を引き締めて読むように。