L寄りBの本棚。

バイセクシャルだったけどだんだん男性に興味がなくなったレズビアン(L寄りB)がLGBTを題材にした小説や漫画について一丁前に語るブログ。

すべてはモテるためである(二村ヒトシ)

一つ謝罪がある。二村ヒトシが初めて「心の穴」について詳しく書いたのは、実は彼の二作目の本、『恋とセックスで幸せになる秘密』なのだが、これの増補版(かつ文庫版)が『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』であった。本棚を探したら、『すべてはモテるためである』と『恋とセックスで幸せになる秘密』とが出てきて、「あれ?手持ちの本とタイトルが違うぞ?」と思って調べたら分かった。私の手持ちは古い方の、『恋とセックスで幸せになる秘密』である。なので、これから読む人は『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』を読んだ方がいい。私も多分買う。

 

で、やっぱり二村ヒトシといえばこの本でしょう!ということで、まずは何年かぶりに『すべてはモテるためである』を読んでみた。最初に刊行されたのが1998年、その後2002年に『モテるための哲学』というタイトルで文庫化され、さらに大幅に加筆修正されて文庫化されたのがこちらである。

 

 

ね、タイトルとイラストから見たら、「何だ、モテない男性のためのハウツー本か?」と思うけど、実は全くそうじゃない。なんせ、あの上野千鶴子(!)が解説で、<だって、この本読んでも「モテる」ようになったりしないもん。>と太鼓判を押しているくらいだからである。

じゃあ、何のためにこの本があるのか。とりあえず、モテない原因について書かれている。のっけからでかでかと「なぜモテないかというと、それは、あなたがキモチワルイからでしょう。」と書いてある。その「キモチワルイ」の種類とか原因とか、克服方法とかを延々と書いてあるのが本書である。

結構文章がくどくて、かつ色々と読者に考えさせるスタイルになっているので、正直「こんなのだるくて読めないよ!」という人もいるかもしれないが、そこは我慢、我慢。約25年前に話題になって、今も内容は新鮮なままである。読み進めているうちにモテはしなくても、女性にとって「キモチワルくない人」にはなれるかもしれない。

 

女性にとって「キモチワルくない人」になれるのであれば、男性のみならずLやBの女性も読むべき本ではないかと思う。特にタチさんね。だって女子にキモいと思われたら嫌でしょう? 私がこの本を読んだ動機も、「何か昔話題になってたから」というだけではなく、「女子にモテたらなあ・・・・・・」という淡い期待が混ざっていたことは否定しない。まあ、読んだとて(上野千鶴子の言う通り)モテていないのだけれど。

 

ちなみに、この文庫版に関しては第5章も比較的重要で、1998年に出された元の本の後日談のようになっている。筆者がモテた後に、結局、モテたいのではなく、愛されたかったのだ、と悟るのである。そうだよね、人生の最終目標は、モテることではなく愛されることだよね。

 

なお、この本の後ろのほうに、哲学者の國分功一郎との対談が載っていて、その中に多少「心の穴」について触れられている部分があるので、そちらを読んでから『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』を読んでもいいんじゃないかなあと思った。

では、今日はここまで。