L寄りBの本棚。

バイセクシャルだったけどだんだん男性に興味がなくなったレズビアン(L寄りB)がLGBTを題材にした小説や漫画について一丁前に語るブログ。

【L漫】blue (魚喃キリコ)

私はこの作品については、漫画を読まない状態で、先に映画を観た。当時私は20代前半で、高校生活からは遠くなっていたけれど、まだ10代のころの記憶は消えていなくもない、という年頃だった。そんなときに、女子高校生同士の恋心を描いた映画が上映されると知って、居ても立っても居られなくなり映画館に足を運んだものである。

 

 

映画は2003年に日本公開。主演は当時ファッションモデルとして人気のあった市川実日子、市川が恋をする相手の役は小西真奈美である。

今考えると結構すごいキャスティングだと思うけれど、当時からすれば、「何かモデルが映画出てる」って感じだったんじゃないかな(私は今も昔も市川実日子、好きだけど)。二人ともすっかり女優さんになっちゃったね。同級生の役で出てた今宿麻美は女子に大人気のファッションモデルだったし(今は何をしているのだろう)。

 

あ、これは小ネタなのだが、この3人は私と同年代なので、映画撮影当時すでに成人してしばらく経っていて、全然高校生の年ではなかったのである。しかし、制服を着ているとちゃんと女子高生に見えていた。

 

映画を観た後、私はその映像の美しさに惹かれて、川内倫子さんの写真集まで買ってしまった。今、それを開けてみると、「そうだね、こんなシーンあったね。」とは思い出すことができるのだけれど、ストーリーの細部までは思い出せない。

 

 
そんなこんなで映画から18年。私はこの作品のことなどすっかり忘れて生活していたのけど、ひょんなことから(確かTwitterで誰かが言及していたのだ)思い出して、漫画、すなわち原作のほうを読むことになった。
ちなみに漫画は1997年に単行本化されている。
 

 

シンプルで余白の多い絵柄。時折挿入される主人公カヤ子の独白。そのおかげで非常に詩的なものを感じる。カヤ子は大人っぽいけどどこか影のある雅美に惹かれる。雅美は諸事情で高校を1年留年していて、カヤ子より1歳上だ。二人は両想いではある。しかしハッピーエンドではなく、最終的に、カヤ子は東京の専門学校へ進学し、雅美は地元に残ることで離ればなれになってしまう(舞台は海辺の地方都市。ちなみに映画版のロケ地は新潟市富山県高岡市である)。

という、ストーリーは映画とほとんど同じだよね? 細部が両者でどう違うのかはちょっと思い出せない。映画版では雅美はセザンヌの画集を持っていたようだが、原作にはそれがない。それから、原作のほうが二人の接触が多い気がする(さらっと描いてあるけど)。あと、原作にはカヤ子が庭でホースの水を被るシーンがない。うーん、まだまだあるような気はするが、思い出せないのである。

 

そんなこんなで、私の中で本作品は、これから原作と映画版の両方が混然一体となった状態で記憶に残るのであろう。それもまた良し。私にはこんな美しい高校生活はなかったけれど、心の中に秘めておきたい作品である。