L寄りBの本棚。

バイセクシャルだったけどだんだん男性に興味がなくなったレズビアン(L寄りB)がLGBTを題材にした小説や漫画について一丁前に語るブログ。

ご挨拶。

私、ユンボイナと申します。70年代後半生まれでいい歳なのですが、今思えば私の若いころはLGBTに対する風当たりも強く、したがって自分の性的関心が同性に向いているなんてことはひたすら内緒にしてなきゃいけないし、自分で認めるのもなかなか大変でした。

 

そんな私が最初に読んだLGBT小説というのは、パトリシア=ネル=ウォーレンの「フロント・ランナー」という本でした。日本語訳が出たのは1990年、この頃まだ私は小学生だったので出版された何年か後、すなわち中学生のときに読んだ記憶です。

 

ちなみにこの本を発見したのは、母が読んでいた婦人向け雑誌の書評でした。それを読んで初めて、世の中にはゲイを題材にした小説があるということを知ったわけです。それで、小遣いを握りしめて近所の書店に行ったら、たまたまこの本が置いてありました。田舎の書店なのに…運が良かったのですね。当時はまだAmazonなんかありませんでしたし。

 

フロント・ランナーの書評は機会があれば、ということにしたいのですが、ともかく私はゲイが小説に取り上げられることもあることを知ったわけで、ゲイの小説があるならレズビアン小説もあっていいはずだと思い、探し回っておりました。

 

そうしたところ、ついに発見したのが仁川高丸の『微熱狼少女』でした。途中どうやって探したのか、もう25年くらい前の話なので記憶にないのですが、読んで「これだ!」と思いましたね。本を発見したというより、自分が本に発見されたという感覚。まあ、こちらの本も、機会があれば読み直して書評を書きたいんですが、一つ印象を取り上げるなら、セリフの読点の打ち方が独特で新鮮でした。

そのあと、仁川高丸の小説は何冊か読んだのですが、あまりストーリーなど記憶になくて、やっぱり『微熱狼少女』が一番良かったんだと思います。

 

もう1冊ターニングポイントになる小説を挙げるとするなら、大学に入ってから読んだ、松浦理英子の『葬儀の日』です。これは表題作が凄すぎて、しばらくポカーンとしていましたね。作者が19歳のときに書いたものだと知って、「小説家の化け物がいる!」と震えました。松浦理英子のは何冊も読んで、ナチュラル・ウーマンとか親指Pの修行時代とか…どれも良かったんですけど、やはり私の中で『葬儀の日』を超えるレズビアン小説は出てきていないのです。他の小説を何冊読んでも、です。

 

で、私は何が言いたいかというと、私は上に書いた通り初めにLGBT小説に触れたきっかけがおばさん向け雑誌の書評だったのですが、このおばさんブログがこれからLGBT小説や漫画(私が女性なのでLかBがほとんどになりますが)を手に取るという人にとって良書に巡り会うきっかけになって欲しいなあということです。

 

上に挙げた松浦理英子の『葬儀の日』は、別のサイトを見ても割と評価が別れるみたいなので、あんまり気軽には勧められないような気がするのですが…とにかくマイベストはこの本です。この本について語ると長いので、詳しくはまたの機会にしますが(また後回しだよ!)、近年は漫画もいいものが出てきているので、小説と漫画、両方を読んで面白かったものをこれから紹介していきますね。

 


本・書籍ランキング