【古典百合】『花物語』吉屋信子~3日目
皆さん、蒼井優と山ちゃんの結婚、びっくりしましたね! と、全くブログの内容と関係のない話からスタートしてみた。今日は…
26 藤
27 紫陽花
28 露草
29 ダーリヤ
30 燃ゆる花
31 釣鐘草
32 寒牡丹
33 秋海棠
この8作を読んでみた。この辺からはなかなか読み応えのある内容で、ついつい私もひきこまれてしまった。一番最後の33秋海棠は、どうも百合ではなく「譲り合いの精神をだいじにしましょう」みたいな、道徳の教科書にでも載せておけばいいような話で面食らったし、31釣鐘草も「弟を亡くした少女が教師になる決意を固めた」みたいな話、29ダーリヤは「これからも看護師を続けようと決心した話」でちっとも百合ではないけれど…気にしない、気にしない。
一番この中で百合百合しいのは30燃ゆる花だろう。本当に燃えちゃうし。あらすじはこうだ。
全寮制の学校にある日突然人妻(片岡)が入学する。この人妻、この学校の元生徒で、超金持ちだけど嫌な旦那からこの学校に逃げてきたのだ。片岡は最初に学長(なのかな?)のミス・ワグナーのところに案内してくれたみどりと同室になる。みどりは片岡に、妃(=片岡)の侍女になると宣言し、寮内や学内でずっと一緒に過ごすようになった。
しかしある日、おばさん(正体不明)が片岡を婚家に連れ戻しにやってくる。これについては、みどりが代わりに話をして、ミス・ワグナーが不在なのを理由に帰ってもらった。さらにその後、今度はミス・ワグナーがいるときにおっさん(正体不明)が片岡を連れ戻しに来た。おっさんは片岡と引き換えに学校に1万円(今のお金でどのくらいかな?)を寄付すると言ってきたが、ミス・ワグナーがキッパリ断ってしまった。おっさんは、「後悔するなッ、こちらには命知らずの人間を金で買って、どんな事でもやらせてやるぞッ」(原文ママ)と言って帰った。
その後、明け方に寮が火事になった。生徒は逃げ出して点呼を受けたが、みどりと片岡がいない。ミス・ワグナーが炎の中に入ってみると…2人が一緒にいて動かなかった。そこで片岡がこう言った。「先生お帰り下さいまし、早くお逃げ遊ばして、私はこのまま―焔は汚れたものを浄化させてくれるでしょうものを!」(原文ママ)
人妻自ら放火して年下の生徒と心中という、迷惑極まりない話なんだけど、おっさんの捨て台詞が本当ならばある意味なるべく学校関係者に迷惑をかけないように、という配慮が片岡にあったのかもしれない(放火はやめて他の方法にしなよ、とは思うが)。
しかし、「汚れたもの」って何なんでしょ。燃えたのは寮や学校だが、学校が彼女にとって汚れたものでないのは明白である。片岡自身を指すと考えるのが妥当だろう。汚れたとはどういうことか…ここは金持ち旦那と結婚したことだろうなあ。それで汚れたと思い込んだならば、昔の学び舎に逃げたくもなるし、死にたくもなるわな。
だけどさ、この話に共感しちゃまずいのよ。世の中(特に好きでもない男と付き合ったことがある私も含めて)ヨゴレだらけになってしまう。昨日、白百合の話で葉山先生が純潔クラブを結成して、自分は病気でさっさと死んじゃった話を紹介したけど、ヨゴレになる前に死ぬ、ヨゴレになったら死ぬって、実践したら死屍累々になるぞ。
まあ、今の女子はあんまり共感しないだろうから、心配しなくてもいいか。うん、安心したから寝る。おやすみなさい。